【後編】クラシックギターとは?楽器の特徴、歴史、代表曲、著名ギタリストまでザックリ解説します
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この記事は、以下の記事の後編になります。ぜひ前編を読んでから、今回の後編を読んでみてください。
【前編】クラシックギターとは?楽器の特徴、歴史、代表曲、著名ギタリストまでザックリ解説します
前回の前編では、クラシックギターの楽器の特徴、奏法の特徴、ギターの黄金時代を支えた18〜19世紀の作曲家・演奏家たちをご紹介しました。
今回の記事で、いよいよ20世紀の歴史、作曲家・ギタリストに突入します。
この記事の目次
- 1 天才ギター製作家「アントニオ・デ・トーレス」
- 2 近代ギター音楽の父「フランシスコ・タレガ」
- 3 現代クラシックギター奏法の父「アンドレス・セゴビア」
- 4 20世紀のギター作曲家たち
- 4.1 ホアキン・ロドリーゴ(Joaquín Rodrigo 1901年 – 1999年)
- 4.2 エイトル・ヴィラ=ロボス(Heitor Villa-Lobos 1887年 – 1959年)
- 4.3 アグスティン・バリオス=マンゴレ(Agustín Barrios Mangoré 1885年 – 1944年)
- 4.4 マヌエル・マリア・ポンセ(Manuel María Ponce 1882年 – 1948年)
- 4.5 マリオ・カステルヌオーヴォ=テデスコ(Mario Castelnuovo-Tedesco 1895年 – 1968年)
- 4.6 イサーク・アルベニス(Isaac Albéniz 1860年 – 1909年)
- 4.7 エンリケ・グラナドス(Enrique Granados 1867年 – 1916年)
- 5 20世紀のギタリストたち
- 5.1 ミゲル・リョベート(Miguel Llobet 1878年 – 1938年)
- 5.2 エミリオ・プジョール(Emilio Pujol 1886年 – 1980年)
- 5.3 レヒーノ・サインス・デ・ラ・マーサ(Regino Sáinz de la Maza 1896年 – 1981年)
- 5.4 ホセ・ルイス・ゴンザレス(José Luís Gonzalez 1932年 – 1998年)
- 5.5 ジョン・ウィリアムズ(John Williams 1941年 – )
- 5.6 ジュリアン・ブリーム(Julian Bream 1933年 – )
- 5.7 ナルシソ・イエペス(Narciso Yepes 1927年 – 1997年)
- 5.8 村治佳織(1978年 – )
- 6 まとめ
天才ギター製作家「アントニオ・デ・トーレス」
アントニオ・デ・トーレス(Antonio de Torres 1817年 – 1892年)
現在のクラシックギターの前は、小ぶりな19世紀ギターと呼ばれるものが主流でした。19世紀ギターは音量も小さく、大きなコンサート会場には不向きなギター。
そこから現在のような大きなボディで音量も大きなギターを開発したのが、スペインのギター製作家「アントニオ・デ・トーレス」です。
トーレスが製作したギターは、後述するフランシスコ・タレガが生涯愛用したギターとしても有名です。
トーレスが製作したギターをきっかけに、ハウザー、ラミレス、バルベロ、アルカンヘル・フェルナンデス、フレタ、ブーシェ、ロマニロス等、その他さまざまなギター製作家たちが多くの銘器を製作しました。
お気に入りのギタリストが何のギターを使用しているのか?ぜひ調べてみることをおすすめします。
近代ギター音楽の父「フランシスコ・タレガ」
フランシスコ・タレガ(Francisco Tárrega 1852年 – 1909年)
一時的に衰退していたクラシックギター。ギターが再び脚光を浴びるきっかけを作ったのは、近代ギター音楽の父「フランシスコ・タレガ」です。(タレガは、タルレガやターレガとも)
ギタリストとして、そして作曲家として卓越した才能を見せたタレガの登場は20世紀クラシックギターの基礎を築き、ギターを再び表舞台へと押し上げる大きなきっかけとなりました。
後述するセゴビアは、タレガの作曲した曲を好んで演奏しました。
代表曲は、不朽の名曲「アルハンブラの思い出」を始め、アラブ風奇想曲、ラグリマ、グラン・ホタ等、他多数。
タレガ作曲「アルハンブラの思い出」(演奏:ジョン・ウィリアムズ)
現代クラシックギター奏法の父「アンドレス・セゴビア」
アンドレス・セゴビア(Andrés Segovia 1893年 – 1987年)
20世紀に入ると、現代クラシックギター奏法の父「アンドレス・セゴビア」が登場します。
セゴビアは自らの演奏旅行が大成功します。セゴビアの魔術的とも言える音色は、多くの聴衆を魅了しました。
そしてセゴビアは、音楽の父「J.S.バッハ」の曲をギター用に編曲したり、ホアキン・ロドリーゴやエイトル・ヴィラ=ロボス等の作曲家たちに作曲を依頼し、独奏曲から協奏曲までレパートリーを広げました。
こうしたセゴビアの功績により、クラシックギターの地位は大きく向上したと言えます。
セゴビアの演奏(モーツアルトの魔笛の主題による変奏曲:F.ソル作曲)
20世紀のギター作曲家たち
ホアキン・ロドリーゴ(Joaquín Rodrigo 1901年 – 1999年)
幼いころ病により失明したスペインの作曲家ホアキン・ロドリーゴは、不朽の名曲「アランフェス協奏曲」の作曲者としてあまりにも有名。アランフェス協奏曲は、レヒーノ・サインス・デ・ラ・マーサのギターで初演がおこなわれています。
その他にも、セゴビアの依頼で作曲され、セゴビアが初演のギターも務めた「ある貴紳のための幻想曲」なども作曲。
ロドリーゴ作曲「アランフェス協奏曲より第2楽章」(演奏:村治佳織)
エイトル・ヴィラ=ロボス(Heitor Villa-Lobos 1887年 – 1959年)
ブラジルの作曲家エイトル・ヴィラ=ロボスは、20世紀を代表する作曲家の一人。ヴィラ=ロボスはギター曲も数多く作曲をしています。
協奏曲からエチュードまで、コンサートでもよく演奏されます。
ヴィラ=ロボス作曲「ショーロ第1番」(演奏:デイヴィッド・ラッセル)
アグスティン・バリオス=マンゴレ(Agustín Barrios Mangoré 1885年 – 1944年)
南米パラグアイのギタリスト・作曲家アグスティン・バリオス=マンゴレは「ギターのショパン」と称されるほど、ロマンチックな曲が多いです。
ギタリストとしても優れていましたが、数多くの曲を残しています。後述するジョン・ウィリアムズは、バリオスの曲を好んで演奏しました。
バリオス作曲「大聖堂」(演奏:ジョン・ウィリアムズ)
マヌエル・マリア・ポンセ(Manuel María Ponce 1882年 – 1948年)
メキシコのピアニスト・作曲家のポンセは、セゴビアのギターに魅了され、セゴビアの依頼によりギター曲を次々と作曲しました。
独奏曲から協奏曲まで、数多くの曲を作曲しました。
ポンセ作曲「バレット」(演奏:アンドレス・セゴビア)
マリオ・カステルヌオーヴォ=テデスコ(Mario Castelnuovo-Tedesco 1895年 – 1968年)
イタリアの作曲家テデスコも、セゴビアとの出会いによりギター曲を作曲し始めます。協奏曲から独奏曲まで、100曲以上をギターのために作曲しました。
テデスコ作曲「ギター協奏曲 第1番」(演奏:Thomas Viloteau)
イサーク・アルベニス(Isaac Albéniz 1860年 – 1909年)
スペインのピアニスト・作曲家アルベニスは、ギターのために作曲はしていませんが、ギター用に編曲され多くのギタリストが演奏しています。
アルベニス作曲「アストゥリアス」(演奏:シャロン・イズビン)
エンリケ・グラナドス(Enrique Granados 1867年 – 1916年)
スペインのピアニスト・作曲家グラナドスも、アルベニス同様数多くのギター編曲がなされた作曲家です。
グラナドス作曲「スペイン舞曲 第10番」(演奏:マリア・エステル・グスマン)
20世紀のギタリストたち
ミゲル・リョベート(Miguel Llobet 1878年 – 1938年)
スペインのギタリスト・作曲家のリョベートは、タレガの高弟です。20世紀クラシックギター復興の立役者となりました。
リョベート編曲「聖母の御子(カタルーニャ民謡)」(演奏:アンドレス・セゴビア)
エミリオ・プジョール(Emilio Pujol 1886年 – 1980年)
スペインのギタリスト・作曲家プジョールも、リョベートと同じくタレガの弟子です。20世紀のクラシックギター復興に大きく貢献したギタリスト。
プジョール作曲「熊蜂」(演奏:Luis Alejandro García)
レヒーノ・サインス・デ・ラ・マーサ(Regino Sáinz de la Maza 1896年 – 1981年)
スペインのギタリスト・作曲家デ・ラ・マーサは、アランフェス協奏曲の初演でソロを務めたギタリストです。
演奏旅行で世界的名声を得た後は、指導者として多くのギタリストを輩出しています。
レヒーノ・サインス・デ・ラ・マーサの貴重な演奏映像
ホセ・ルイス・ゴンザレス(José Luís Gonzalez 1932年 – 1998年)
スペインのギタリスト・作曲家ホセ・ルイス・ゴンザレスは、音色の素晴らしさで有名です。あのセゴビアから「美しい音の出し方はホセ・ルイスから学びなさい」と言わしめるほど。
グラナドス作曲「スペイン舞曲 第2番」(演奏:ホセ・ルイス・ゴンザレス)
ジョン・ウィリアムズ(John Williams 1941年 – )
オーストラリアのギタリスト ジョン・ウィリアムズは、商業的に最も成功したクラシックギタリストと言えると思います。
10代の頃からセゴビアに賞賛されるほどの卓越した技術と音楽性を発揮し、世界中のギターファンを魅了しました。
バッハ作曲「リュート組曲第4番 BWV1006よりプレリュード」(演奏:ジョン・ウィリアムズ)
ジュリアン・ブリーム(Julian Bream 1933年 – )
イギリスのギタリスト ジュリアン・ブリームは、前述したジョン・ウィリアムズと並ぶ世界的なギタリストです。
ギター以外にもリュートも演奏します。
ファリャ作曲「スペイン舞曲第1番」(演奏:ジュリアン・ブリーム & ジョン・ウィリアムズ)
ナルシソ・イエペス(Narciso Yepes 1927年 – 1997年)
スペインのギタリスト ナルシソ・イエペスは、映画「禁じられた遊び」のメインテーマ「愛のロマンス」が世界的な大ヒットとなり、一躍有名になりました。
またイエペスは、10弦ギターの使い手としても有名です。
スペイン民謡「愛のロマンス」(演奏:ナルシソ・イエペス)
村治佳織(1978年 – )
日本のギタリスト村治佳織は、わずか14歳にして東京国際ギターコンクールとブローウェル国際ギターコンクールで優勝しました。
以後、CDリリースやコンサート活動、CM・TV出演など多岐に渡る活動をしています。
坂本龍一作曲「戦場のメリークリスマス」(演奏:村治佳織 & 坂本龍一)
まとめ
今回の後編は、20世紀を中心にご紹介しました。
初心者の方でもクラシックギターの大まかな歴史を楽しんでいただけると幸いです。
クラシックギターは美しい音楽、美しい音色を楽しめる楽器。今回の記事がその手助けになればと思います。
前編をまだ読んでいない方は、以下リンクから前編も読んでみてください。